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チューリッヒ 小尾かなよ
例えばチューリッヒを目の前にして、わざわざ争いに身を投じようとする物好きはいないだろう。どこがどうというわけではない。言わばチューリッヒが身にまとった空気が私たちをそうさせるのであり、それがチューリッヒの本質であると言えるだろう。平和なる世界。ヨーデルなる世界。そこにチューリッヒがいるだけで、世界は暖色に塗り替えられる。永世中立国のあるべき姿をそのまま描いたかのような、それがすなわち、チューリッヒの魅力なのだ。